誘惑の乙女

※本小説はオメガバースの設定を使用してします。

 この世界には性別以外に三種類の人種がいる。

 一つはβ(ベータ)。こちらは特殊な体質もなく、普通の人間だ。

 二つ目はα(アルファ)。こちらはβより生まれつき頭が良く、記憶力も基本的なβよりはるかに高い性質を持っていて生まれながらのエリートである。

 三つ目はΩ(オメガ)。知識や記憶力はβと遜色は無いが、数ヶ月から短い人で一週間に数日もしくは一日発情期が訪れる。こちらが曲者で、発情期になるとΩは発情してしまいほとんど何もすることが出来ない。それに加え無意識に相性の良いαを引き寄せるフェロモンを発生させてしまうが為に本能的に性行為に及んでしまうということが日常として起こってしまう。もちろん抑制する薬はあるけれど、薬の副作用が強いものが多く、体がだるくなったりぼーっとしたりするので基本的に風邪と同じように休暇する人が多く、休んでばかりと周りからは偏見の目で見られている。

 そして、Ωには他にも特徴があり、それは番(つがい)という事実上の結婚、一生の契約といったものだ。これは発情期になったΩがαを呼び寄せαは性行為を及んだ後、αは首筋を噛み付きたくなる衝動に駆られる。そして痕が残るほどの噛み付きを行うと番となってしまうのだ。この行為をして番になってしまうと相手に恋人がいようと関係なく契約が成立してしまい、強い絆で結ばれてしまう。こうなってしまうと一生お互いが好きになってしまい、別れることは出来ないのだ。なので、Ωは首輪をして見知らぬ相手と番にならないように自分を守っている人が多い。

 そして最後の特徴としてΩは男女どちらがパートナーであっても子供を生むことが出来るということ。つまり、αの女性がΩの女性に子供を授けることが出来るのだ。αの女性はΩの女性との性行為を行うと絶頂時に特殊な唾液が分泌される。甘いような苦いような不思議な唾液はどろどろと溢れ、Ωの女性はそれを飲み込んでしまうと男女の性行為と同じく妊娠してしまう場合がある。

 こういったことからΩにとっての発情期とは基本厄介ものでしかない。しかし、Ωが引き寄せるαは知識や記憶力が高いことから将来的に地位が高くなる人が多く、αと番になったΩは将来安定と言われていたり、番となってしまえばフェロモンを発しなくなるので、良くも悪くもある体質なのだ。

 

 

――そんな世界での話。